アーネスト博士の秘蔵標本6[瑩石ペンダント]

アーネスト博士の秘蔵標本6[瑩石ペンダント]
¥2,730 SOLD OUT
 
 
 
妖精界の、とある場所―
 
 
 
 
 
「………よし。帰るぞ」
 
「そうだな(^-^)」
 
 
 
 

楽しげな様子でその場を後にした二人の人物は、ロカとアーネスト博士。
 
 
 
 
実はロカ、妖精界にあるケットシー族の国に、ノア所長からあるおつかいを頼まれて来ていた。
 
しかしロカ一人では迷子になってしまう為、アーネスト博士が案内役を任されたのだ。 
 

 
 
 
博士はロカに優しく笑いかけて問う。
  
 
 
「どうだね、他のケットシーと話をしてみた感想は」  

 
「感想………」
 
 
 
 
 
 
 
 
ロカは暫し考え込み、フッと微笑んだ。 
 
 
 
 
「俺みたいなのが他にもいて………
何か、安心した」
 
「はは、それは良かった!
ノアもそれを聞いたら喜ぶぞ」
 

 
 
ロカがこのおつかいを頼まれたのには理由がある。


[はぐれ妖精で仲間のいないロカを、同種族の他のケットシー族に会わせてあげたい]という、ノアの意向があったからだ。
 
所長は敢えて言葉にはしていなかったが、博士はそれを察していたのだろう。
 
 
 
 
 
と、ロカが思い出したように人差し指と中指を立てて、ピースサインを作った。
 
 
  
 

「あと、ケットシーが二種類いるのがビックリした」
 
「確かにな(^^)」 
 
 

 
 
ケットシーという妖精は、正確には二種族に分類される。
 
 
一つは【猫型】。
姿は普通の猫だが、二本足で歩く事ができる。
 
童話の「長靴を履いた猫」が、この猫型ケットシーの一例である。
 
 
そしてもう一つが、【人型】ケットシーだ。
 
猫型と違い、人と猫の間―
獣人のような姿をしている。
 
妖精では無かった猫の魂が成長し、妖精となる時、この人型ケットシーになるようだ。
  
言わずもがな、ロカもこの種族である。
 
 
能力も、前者と後者のケットシーとで大きく異なる。
 
猫型は魔術を得意とし、人型は身体能力が異常に高い。
 
 
 
 
 

 
ロカが眩しそうに目を細めて、昼の空を見上げた。
 
  
 
 
「俺達がこっちに来てる間、人間界はどれくらい時間が経ったんだ?」 
 
「ふむ………
私達がこちらに来て6時間程経つから、ざっと4日だな」 
 
「!」 
 

 
 

人間界でそこまで時間が経過しているとは思っていなかったのか、目を見開いて驚くロカ。

彼は、無言で被っていたシルクハットを脱ぎ、脇にかかえた。
   
 
 
「―急ぐぞ」
 
「ちょ、ロカ君、待っ………」
 
 
 
 
 
博士が言葉を終えるより先に、ロカは全速力で走り出した。
 
人型ケットシーの身体能力のお陰か、ものすごい早さで森の中を駈けていく。
 
 
博士は慌ててそれを追いかける。
 
 
 
 
 
「はぁっ、はぁ………
ロカ君~!
私を、置いて、行かないでっ……くれぇ~」
 
 
 
 
博士も後を追って走るが、なかなか距離が縮まらず、むしろ離れるばかりだ。
 
人型ケットシー族の彼には、人間の足では到底追い付けない。
 
 
 

後方の博士に向かって、走りながらロカが叫ぶ。 
 
 
 
 
「俺は早く帰りたいんだっ、置いてくぞ!」
 
「コラコラ~!
私がいないと、人間界には……っ帰れないぞ~!」
 
 
 

それを聞いたロカはピタッと足を止め、博士が息を切らしながらやっと追い付いた。
 
 
 
 
 
 
「……………………」
 
 
 
 
 
 
すると仏頂面のロカは、あろうことか博士を横抱き―
 
いわゆる[お姫様抱っこ]をしようとしたのだ。
 
 
 
 
 
「な、何をするんだロカ君」
 
「……博士を運んで走ったら、問題ないかなと思って」
 
「な……っ!?
いやいや!問題あるも何も、大問題だぞ!
 
私のような大男が、同じ男の君にお姫様抱っこされているなど……
そんな地獄絵図を作り出すのはやめたまえ」
 
「でもその方が早いだろ」
 
 
 
 
 
はぁ~……と大きなため息をついて、博士は肩をすくめた。 
 
 
 
 
 
「第一、君はどこに向かっているのかね。
妖精界の出口を知らないだろうに」
 
「………とりあえず進めば見つかるかと思った」
 
「はは、君らしいな」
 
 
 
 
 
「そこまで早く帰りたいのなら……仕方ない」と、博士はシルフの名を呼んだ。
 
 
この間、妖精王に「シルフの力を使い過ぎないように」と釘を刺されたばかりだが、今回は彼女の力を借りて、人間界に帰る事にしたのだ。
が………
 
 
事情を話すとシルフは、「アタシはそのお姫様抱っこ、見てみたいかも」と、恐ろしい事を言って博士を困らせた挙げ句―
結局人間界へ送ってはくれずに、その場から去ってしまった。
 
 
 
 
 
  
 
 
「………どうするんだ」
 
 
 
ただでさえ仏頂面のロカは、更に目をつり上げて、かなり不機嫌な様子だ。
 
 
 
 
「まぁまぁ、そう怒らんでくれ。
他にも帰る方法はある」 
 
 

博士はその真逆で、ヘラリと笑みを浮かべながら、自らの首元に下げている、エメラルド色の光る石を指し示した。

 
 
 
 
「………………それは……?」
 
 
 
その石を、興味深そうにじっと見つめるロカ。

彼の見開いた瞳が、その色を反射して青緑色に輝いている。 
 
 
 
 
 
「これは【瑩石[エイセキ]】という石だ。
妖精界から人間界へ戻る際、道標となってくれる。
 
妖精界にランダムに発生している、人間界へ繋がる扉―ゲートに近付くと……
このように、緑色に光り出すのだよ。
 
二つの世界を行き来する者は、必ず身に付けているはずだ」
 
 
 
 
巨木が立ち並ぶ森の奥に進むにつれ、緑色の光が強まってきている。
 
ゲートが近いのだろう。
  
 
 
 
 
「そうか…… 
 
じゃあ、ここに来るのは、フェアリーサークルのゲートで……
帰りはその石を使って、ゲートを探すんだな」
 

 
フムフム、と、一人頷くロカ。
 
 
 
 
「はは、物覚えが良くてよろしい(^-^)/」
 
 
 
博士は、まるで子供相手にするように、ロカの頭を撫でようとした。
 
  

 
「やめ……撫でるな!
俺は子供じゃない」
 
「照れるな照れるな。
では、代わりに背中を撫でてあげよう(о´∀`о)/」
 
「場所の問題じゃない!
どこも撫でるな!
触るなっ!!」
  
 
 

喉の奥でうなり声を上げ、尻尾の毛を逆立てて威嚇するロカ。

対する博士は彼で遊んでいるようだ。

当の本人は、遊ばれている事に全く気付いていないが。
  
 
 
 

脱いでいたシルクハットを被り直したロカは、博士をギロリと一睨みしてから、瑩石に視線を移す。


 
「ていうか、その石はレアなのか?」  

「まぁ、サイズによるな。
小さいものは比較的手に入りやすいが………
このサイズの瑩石は、なかなか無いらしい。

ずっと昔……
ある人物から、譲り受けた物だ」

 
 
手のひらの瑩石を見つめ、彼は懐かしそうに微笑む。
 
 

 
 
 
 
昼だったはずの空は、いつの間にか夜明け前の薄紫色に変わっていた。
 
妖精界では、場所によって時の流れが変わる事は多々ある。

 

 
―瑩石の緑色がより一層強まった。


 
 
 
 
「………近いな。
ここらだと思うんだが―
 
Oh!あったぞ(^-^)」
 
 
 
 
 
巨木の根元、人が10人は入れそうな程広い樹洞の中に―
光を放つ扉が、ひっそりと佇んでいた。
  
 
 
 

「さぁ、帰ろう」
 
「……あぁ」
 
 
 

その光の扉をくぐり抜け、二人は妖精界を後にしたのだった―








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【サイズ(瑩石本体)】縦4.2㎝・横1.3㎝・厚さ1.2㎝

【チェーンの長さ】70㎝

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【※注意点等※】

・こちらの作品は再販不可です。

・当製作所のレジン作品は、末永くお楽しみ頂けるよう、黄変(経年劣化による黄ばみ)が無い【星の雫レジン】を使用しております。

・この作品は蓄光(夜光)です。
太陽光や人工の光で蓄光し、暗闇で光ります。
(光り方は蓄光時間、光量によりますが、ほんのり光る程度です)

また、蛍光性で紫外線で光りますので、太陽光が当たると鮮やかなエメラルドグリーンになり、ブラックライトが当たると強く光ります。

・こちらの作品は、ご注文後5日以内に発送予定です。
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