【受注製作】アーネスト博士の秘蔵標本5[フェアリーサークル]





【受注製作】アーネスト博士の秘蔵標本5[フェアリーサークル]
¥8,780
SOLD OUT
雲ひとつなく晴れ渡った、青い空が広がるその日の朝―
いつにも増してテンション高めのアーネスト博士が製作所に訪れた。
「皆居るかぁ~~!」
製作所奥の居住スペースから始めに顔を出したのはイーユンだ。
手には瑞々しいハーブを持っている。
「おぉイーユン、おはよう!」
「おはようございます。
相変わらず博士はお元気ですね」
少し距離を取っているのは、博士のハグを警戒しているのだろう。
続いて、アトリエからノアが、居住スペースからはボサボサの髪の毛のロカが、ノソノソと出てきた。
仏頂面の彼には何とも不釣り合いな、薄ピンクで肉球柄のパジャマを着ている。
「ロカ君、まだ寝ていたのかね!」
「…………」
返事をしない彼に代わり、ノア所長が返答する。
「ロカさんは朝が苦手ですから」
「あぁ、そうだったか」
博士は「すまんすまん」と言ってヘラッと笑った後、本日の本題に入る。
「今日は、妖精界への入り口が開く条件が揃う日でな。
しかも運良くここからそう遠くない場所だ。
まぁ…これも必然だろう。
頻繁にある事でもないから、折角ならば君達も連れて行こうと思ったのだ」
実は先日、妖精王オベロンから「妖精界に来る時シルフの力ばかり使わないように」と釘を刺されたのだ。
それを思い出したノアが問う。
「もしかして、それが「妖精界に行くもう一つの方法」ですか?」
「その通り。
少々骨は折れるが……どうだ、一緒に来るかね?」
「もちろん行きます。実は気になっていたので」
そうと決まり身支度を整えた三人は、ご機嫌な博士に続いて出発した。
―その後、数時間歩き続ける。
「~~ Is go dté tú mo mhúirnín slán~♪」
博士は、祖国アイルランドの民謡[Siúil A Rún[シューラルーン]]を口ずさんでいる。
彼にはミスマッチなその歌詞にノアが微笑んでいると、苔むした木々が鬱蒼と茂る森が目の前に現れた。
人が出入りしているような様子はない。
「ここ、ですか?」
「あぁ。「ここら辺」だ」
「「??」」
意味が分からず、クエスチョンマークを浮かべる所長とロカ。
「そうか、探し出す前に、説明をしなければならないな」
博士はリュックから瓶を取り出し、ノアに見せた。
「……ツキヨタケですね。
複数の個体が円形に生えている……
フェアリーリング」
「そうだ。
妖精の輪、フェアリーサークルとも呼ばれるな。
フェアリーリングは、人間界の普通のキノコでも起こる現象なのは知っているかな?」
「はい。確か、[菌輪]という現象の事ですよね。
「妖精が踊った後に出来る」なんて素敵な言い伝えもありますね」
「あぁ。
ところが、ツキヨタケでそれが発生すると話が別でな」
そう言って彼は、指で宙に輪を描いて見せた。
「ツキヨタケのフェアリーリングが、妖精界への扉―[ゲート]になるのだ。
人間は妖精の力でも借りなければ、このゲートを通る他あちらに行く術はない。
ただ、妖精達の場合は別の方法で行けるようだがな。
イーユン、君は知っているだろう」
「えぇ、もちろん。
守秘義務があるので、方法自体はお教えできませんが……」
ノアは瓶の中のフェアリーリングを見て首を傾げる。
「……こんな小さなものも[ゲート]なんですか?」
「あぁ。正確にはゲート「だった」だな。
ゲート自体は一定時間を過ぎると閉じるが、フェアリーリングのツキヨタケはそのまま残るのだよ。
メインの大きなゲートの側に、稀にこういう極小のゲートができている事があってな。
……といっても、こんなサイズのゲートでは虫くらいしか通れないが。
見つけた時は標本として採取している」
博士は手元の標本瓶を見つめて、嬉しそうに微笑んだ。
「フェアリーリングの大きさは、子供一人が通れる小さなものから、大きいものは何十メートルもの輪になって広がっている時もある。
それ故、何も知らずに偶然その輪に入ってしまった者が、そのままゲートを通って妖精界に行ったきりしばらく戻ってこない―
いわゆる[神隠し]に遭ったりもする」
瓶をリュックにしまい込み、彼はワクワクした様子で、身振り手振りを加えて話を進める。
「惑星の配置、時刻、経緯度、キノコが生える事のできる環境……
様々な条件が重なり合うその場所に、妖精界へのゲートとなるフェアリーリングが現れる。
詳しい説明をすると、少し長くなるが……
聞きたいかね?」
「聞きたくありません」
「俺も嫌だ」
「僕も遠慮させてもらいます」
博士の「少し長くなる」は数時間単位だと知っている三人は、即座にそれを拒否する。
彼は力説の場を奪われ「面白い話なのにな~」とガッカリしていたが、すぐにカラッとした笑みを浮かべて続けた。
「大体の発生場所は割り出せるのだが、数百メートル範囲までしか絞れない。
つまり、その範囲をしらみつぶしに探していかなければならないという事だ」
博士がガサゴソとポケットから取り出した地図には、赤ペンで丸く囲っている所があり、彼がそれを指差す。
何やら横に難しい数式がたくさん書き記されているが、それについて聞くとまた博士の長話が始まりそうなので、三人は黙ってその地図を見つめた。
「この範囲の何処かに、ゲートが発生している」
「……結構広いですね」
妖精界に行くもう一つの方法について、博士が妖精王に「なかなか骨が折れる」と言っていたのはそういう事か……と、ノアは納得しつつ、フェアリーリング探しを始めたのだった。
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[サイズ(瓶※蓋を含む)]
縦8㎝・直径6.1㎝
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●[ツキヨタケ、イロドリタケのカラー]
◆ [1]~[7]のツキヨタケは昼光下では白、[8]~[14]のイロドリタケは昼光下でのカラーがそれぞれ違います(写真をご参照下さい)。
◆キノコは合計16本ですので、本数分のお好きなカラーを[1]~[14]の中からお選び下さい。
同じカラーを何本かご指定頂いたり、16本すべて同じカラー等にもできます。
トップ画像のものと同じ配色、ツキヨタケの青系([1]~[4])のカラーでおまかせ、等のご指定も可能です。
また、個々のキノコのカラーのご希望がございましたら合わせてお知らせ下さい。
([ご注文例] [2]5本 [3]6本 [4]2本 [9]3本
※一番大きいキノコは[3]のカラー、二番目に大きいキノコは[2]のカラーで)
◆個々のキノコの大きさ、配置は、基本的にはトップ画像のものとほぼ同じように製作致します。
(※若干の個体差がございます)
すべて等間隔で配置してほしい、個々のキノコの大きさをほぼ同じにしてほしい等のご希望がございましたら、そちらも備考欄にご記入、もしくはメッセージにてお知らせ下さい。
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●[Cap] 瓶の蓋のカラー
[A]シルバー
[B]アンティークシルバー
[C]アンティークゴールド
[D]アイアンラスト(錆加工)
※[B][C]はアイアン塗料でのペイント、
[D]はアイアン塗料に錆加工を施しております。
塗料が剥がれづらいようコーティングをしておりますが、鋭い物で引っ掻いたり強い力が加わると剥がれる恐れがございますのでご注意下さい。
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【※注意点等※】
・受注製作となりますので、発送までに日数を頂きます。ご了承下さい。
・こちらの作品は夜光です。
日中の太陽光や室内の照明、LED等でも蓄光し、暗闇で光ります。
※徐々に発光は弱くなっていきます。
※光を当てれば何度でも蓄光します。
・色により蓄光力(発光時間)が異なります。
◆ツキヨタケ
[4]グリーン、[3]ブルー>[1]バイオレット、[2]ナイトブルー>[5]イエロー、[6]ホワイト>[7]ピンク
※イエロー、ホワイト、ピンクは蓄光力が弱めです。
◆イロドリタケ
[10]エメラルド>[9]スカイブルー、[11]ライトグリーン>[8]パープル、[12]イエロー、[13]コーラルピンク、[14]レッド
・写真のように鮮やかに光らせる、長時間光らせる為には、ブラックライト(キーホルダータイプでも可)、または蛍光灯、LED照明など光源の近くでの蓄光をお薦め致します。
太陽光での蓄光の場合は、ある程度明るい場所に置いておきますと、晴れていた日の夜にはぼんやり優しく光っているのを確認できます。
・ご不明な点等ございましたら、どうぞお気軽にご連絡下さい。
・こちらの作品は、ご注文後12日以内に発送予定です。